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OpenAI・AnthropicがSI事業に参入、国内SIerは「黒船」にどう対抗するか
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OpenAI・AnthropicがSI事業に参入、国内SIerは「黒船」にどう対抗するか

速 報2026.05.28 03:32

OpenAIとAnthropicがそれぞれ新会社を設立し、企業向けAI導入支援に本格参入。現場密着型エンジニアの配置により、国内SIerにとって新たな競合となる可能性をノークリサーチが分析した。

中堅・中小企業向けIT市場の調査を手掛けるノークリサーチは2026年5月13日、OpenAIの「Deploy Co」(OpenAI Deployment Company)やAnthropicの新会社が国内SIerビジネスに与える影響の分析結果を発表した。

Anthropicは2026年5月4日、投資・資産運用会社のBlackstoneやHellman & Friedmanなどと共にAIサービスを担う新会社の設立を発表した。OpenAIも同月11日、TPGやBain Capital、ソフトバンクなどと共に「Deploy Co」を設立すると公表した。両社に共通するのは、企業のAI導入・活用をオンサイトで支援する体制を整えている点で、この人材をAnthropicは「Applied AI Engineer」(応用AIエンジニア)、OpenAIは「Forward Deployed Engineer」(FDE)と呼んでいる。

FDEは、欧米の政府系機関で実績を積んだPalantirが広めた用語で、従来のコンサルタントや常駐型SESと比べ、顧客の業務現場により深く入り込むのが特徴だ。OpenAIはこれを実現するため、英国のAIコンサル企業Tomoroの買収に合意している。従来、両社はAPIを通じてAIモデルを提供するプラットフォーマーであり、業務現場に踏み込んだSIとは縁遠い存在だったが、今後FDEやApplied AI Engineerが国内で展開されれば、国内SIerにとってAI時代の新たな競合が生まれるとノークリサーチは指摘する。

一方、国内ではデータ主権を確保するための「ソブリンAI」の考え方に基づき、国産AIモデルの開発が進んでいる。NTTの「tsuzumi」やNECの「cotomi」をはじめとする国産AIを基盤とした、業界・業種の業務に適合したAI活用は、後発組の日本にとって堅実な選択とノークリサーチは分析する。また、企業ごとのデータ保護の観点から、自社環境で運用するローカルAI環境の整備も重要だとしている。

現時点での発表内容を見る限り、FDEやApplied AI Engineerは企業の業務システム全体をクラウド主体のAIネイティブな形に変革・刷新する取り組みといえる。日本企業の現状や言語・文化の特殊性と適合しない可能性もあるが、海外ベンダーのSaaSが日本企業の多くの業務分野で高いシェアを持つ現実を踏まえ、「欧米のアプローチは日本では通用しないと決めてかからず、今後の推移を注視する必要がある」とノークリサーチは指摘する。

ユーザー企業のAI活用意向を見ると、AIエージェント導入に意欲的な企業では、ヒアリングによる業務の整理やスキル習得支援といった間接的な後押しだけでなく、推進グループの立ち上げやデータ書式の統一など、人員体制や業務データの整備を含む支援をより多く求めていることが分かる。国内ユーザー企業もFDEやApplied AI Engineerに類似した顧客密着型の支援を期待しているとノークリサーチは分析する。

ただし、SIerが深く入り込んだ支援を実践しようとしても、ユーザー企業の協力が十分に得られないケースも多い。IT企業への調査によれば、「ツールを導入しても、ユーザー側での利用が活性化しない」が最多の課題として挙がり、「ユーザー企業の業務フローを把握・整理することが難しい」が続いた。人員体制や業務データの変化を避けるユーザー企業の現状維持志向が、AI導入・活用の障壁となっている実態が浮かび上がっている。

OpenAIやAnthropicの新会社には多くの投資・資産運用会社が参加しており、これらの企業はユーザー企業に対して経営面や金融面で強制力を行使できるケースもある。業績改善の手段として、FDEやApplied AI Engineerが主導するAIネイティブな業務システムへの変革をユーザー企業に強く求めることも不可能ではないとノークリサーチは指摘する。今後、OpenAIやAnthropicが国内の金融機関や一部の大手SIerと協業して米国と同様のスキームを実現した場合、その他のSIerにとっては顧客システムの機能仕様をツールベンダーに掌握されるリスクや、低価格・短納期を求められる課題、自社の自由度が損なわれる懸念が顕著となり、既存案件を失う可能性もあるとしている。

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